【Art】柿右衛門の乳白色|展示会に向けて【安心堂静岡本店】

2026.09.21

「乳白色」と聞いて、
皆さまは何を思い浮かべますか?

私が安心堂で働くなかで、
ふと「乳白色」という
言葉から思い浮かべるのは、真珠です。
真っ白ではない。
やわらかく、ほのかに温かみを感じる白。
光を受けることで、
その表情を変える白。

真珠には、そんな独特の白があります。

そして、陶磁器の世界にも、
「乳白色」という言葉で表現したくなる、
やわらかな白があります。

それが、柿右衛門の「濁手(にごしで)」です。

今回ご紹介するのは、
十四代柿右衛門「濁手桜花文壺」。

この作品を見ていると、
真珠とはまったく異なる素材でありながら、
どこか同じように、
「白そのものに心惹かれる」感覚があります。

同じ「乳白色」でも、こんなに違う

真珠と濁手。

どちらにも「乳白色」という
言葉を使いたくなりますが、
実際に目にすると、その表情は大きく異なります。

真珠には、艶やかな光沢があります。

光を受けると、
表面の光沢のなかに、
柔らかな白が浮かび上がります。

一方、濁手の白は、
しっとりとした、柔らかな白。

「白い」というよりも、
白のなかにわずかな温度を感じるような、
穏やかな色合いです。

同じ「乳白色」という言葉を使っても、
そこから受ける印象は違う。

けれど、どちらにも共通しているのは、
一目で強く主張するというよりも、
ついじっくりと眺めたくなる
美しさかなと感じます。

「濁手」という、柿右衛門を特徴づける白

柿右衛門様式を語るうえで、
欠かせない存在が「濁手」です。

濁手とは、
柿右衛門の色絵磁器を特徴づける、
柔らかな乳白色の素地のこと。

その白は、単なる「器の色」ではありません。

濁手のやわらかな白い素地があるからこそ、
その上に施された赤や緑、
青などの色絵が美しく映えます。

そして、もうひとつ大切なのが、
文様のない部分です。

作品を眺めていると、
いつの間にか「何が描かれているか」だけではなく、

「どれだけ白が残されているのか」

にも目が向いてきます。

「余白」が生み出す美しさ

十四代柿右衛門「濁手桜花文壺」には、
桜花の文様が描かれています。

華やかな桜の美しさに目を奪われますが、
ぜひ注目していただきたいのが、
花と花の間。

文様と文様の間。

そして、何も描かれていない白い空間です。

日本美術において、
余白を生かした表現は、
長く大切にされてきた美意識のひとつです。

すべてを描き尽くさないー
すべてを埋め尽くさないー

余白を残すことで、
見る人の視線や想像が
入り込む余地が生まれます。

柿右衛門の作品においても、
この白い素地は、
単に「何も描かれていない場所」
ではありません。

色絵を引き立てると同時に、
作品全体に静かな広がりを与える。

その白もまた、
作品を構成する大切な要素なのです。

写真では伝わりにくい「白」

ここまで「乳白色」についてお話ししてきましたが、
この白こそ、ぜひ実物でご覧いただきたい部分です。

写真では、
濁手の柔らかな白や、
光の当たり方によって変わる微妙な表情、
そして素地の質感までを
そのまま伝えることは容易ではありません。

画面で見る「白」と、
実物を目の前にしたときに感じる「白」。

その違いを、
ぜひ実際の作品で感じていただきたいと思います。

真珠を眺めるように、濁手を眺めてみる

真珠を手に取ったとき、
その光沢をじっと眺めてしまう。
そんな経験をお持ちの方も
いらっしゃるのではないでしょうか。

濁手にも、
そんな「眺める楽しさ」があるように感じます。

色絵の美しさを見る。

そして、その間に残された白を見る。

少し視線を止めて眺めてみると、
最初に感じた華やかさとはまた違う、
静かな美しさが見えてくるかもしれません。

真珠と磁器は、まったく異なる素材です。

それでも、どちらにも
「乳白色」という言葉を使いたくなるような、
やわらかな白があります。

そう考えると、
「白」という色は、
ただ色を表すだけではなく、
素材の質感や光、
そして見る人の感覚までを
映し出すものなのかもしれません。

真珠の乳白色と、
柿右衛門の濁手

同じ「乳白色」という言葉から始まっても、
そこに広がる美しさは、
それぞれに異なります。

ぜひ実物の前で、
それぞれの「白」をじっくりとご覧ください。

展示会のご案内

十四代柿右衛門「濁手桜花文壺」を
ご覧いただける機会として、
安心堂では展示会を開催いたします。

2026年10月3日(土)・4日(日)

会場は、グランシップ静岡です。

「歴代人間国宝大陶芸展」を開催し、
併せて「現代人気作家陶芸展&ガラスアート展」も開催いたします。

歴代の人間国宝による陶芸作品をはじめ、
現代人気作家による陶芸作品、
ガラスアートなど、
さまざまな作品をご紹介いたします。

作品をご覧いただく際には、
ぜひ「何が描かれているか」だけでなく、

素材によって異なる「白」。

光によって変わる「表情」。

そして、文様と文様の間に残された「余白」。

そんなところにも目を向けてみてください。

写真や画面では伝わりにくい、
実物ならではの質感や存在感を、
ぜひ会場でご体感ください。

皆さまのご来場を、
心よりお待ちしております。

※出品内容は変更となる場合がございます。

【展示会のご案内】

歴代人間国宝大陶芸展

開催日:2026年10月3日(土)・4日(日)
会場:グランシップ静岡

併催|現代人気作家陶芸展&ガラスアート展

歴代の人間国宝による陶芸作品をはじめ、
現代人気作家による陶芸作品、
ガラスアートなどをご紹介いたします。

※出品内容は変更となる場合がございます。

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